自作PCメモリの選び方
自作PCメモリ選びの流れは、以下の通りです:
- 「規格」を決める
- 「容量」を決める
- 「同じ容量を2枚一組のセット買いで購入する」
以下、順を追って説明します。
PCメモリとは?
PCのメモリとは、コンピュータ内でデータやプログラムを記憶する装置のこと。メインメモリ(主記憶装置)ともいわれ、コンピュータの性能を大きく左右する重要なパーツです。
基本的にはメモリの容量が多いほど、パソコンの性能が向上します。ただし、容量を2倍にすれば処理速度も2倍になる、というものでもありません。また、CPUやマザーボードの性能により、搭載できるメモリ量に上限があります。
例えると「机の広さ」のようなもの。つまり、机の上が大きいほどいろいろな作業が楽にできます。けれど、普段の作業がそれほどスペースを必要としないのなら、それほど大きな机でなくても良い、というわけです。
PCメモリーのメーカー
PCメモリーを製造・販売しているメーカーには、CFD、ADATA、G.SKILL、Kingstonなどがあります。規格や動作周波数(メモリクロック)が同じなら、メーカーや製品の違いによる性能差はほとんどない、といわれています。
自作パソコン用のメモリといえば、古くは「バルク品」「ノーブランド」といって、裸の状態で売られているものが一般的でした。
しかし近年は、メーカー名が付いたメモリが一般的です(以前は「メジャーチップ」とか「ブランド品」と呼ばれていました)。品質もよくマザーボードとの相性問題も起こりにくいといわれています。また、同じメモリを2枚使用する「デュアルチャネル」機能に対応するため、「2枚セット」のパッケージ製品として販売されているものも多くなっています。
デスクトップとノートPCでは異なる、メモリの規格
通常、パソコンの種類によって、メモリは異なっています。具体的には「基板の形状」に違いがあります。このため、ノートPCのメモリをデスクトップに利用する……ということはできない、と思って下さい(=「互換性がない」ということです)。
メモリ基板の形状には主に「DIMM」「S.O.DIMM」「MicroDIMM」などがあります。対応するパソコンの種類は、以下の通りです:
- デスクトップ型……DIMM
- ノートPC・小型ベアボーン……S.O.DIMM
- 小型ノートPC……MicroDIMM
実際のところ、ショップなどでは「デスクトップ用メモリ」「ノート用メモリ」などの表示があるので、買い間違えることはないと思います。「デスクトップとノートPCでは、メモリの種類が異なっているのかぁ」ぐらいの気持ちで、覚えておいて下さい。
1)メモリの「規格」を決める
マザーボードに対応した規格のメモリーを選ぶ
実際に、どの規格のメモリを選べばよいのか? 第一のチェックポイントは「マザーボードの仕様」。すなわち、「マザーボードの説明書き(仕様表)を見て、組み込めるメモリの規格を確認する」。そうすれば「選ぶべき(というより選べる)メモリの規格がわかる」というわけです。
例えば、マザーボードの仕様表に「DDR4 2666/2133 Mhz 対応」とあれば、「DDR4-2133(あるいはDDR4 PC4-17000)」または「DDR4-2666(あるいはDDR4 PC4-21300)」の、どちらかのメモリを選ぶことができます。この例では、より高性能のメモリ「DDR4-2666(あるいはDDR4 PC4-21300)」を選ぶのが一般的といえます。
逆に言えば、「マザーボードが対応していないメモリは、使用できない」ことになります。パソコンを自作するときに「古いパソコンのメモリを使おうかな?」と考えている方は、必ずマザーボードの仕様をチェックしましょう。
デスクトップ用メモリの種類・規格について
デスクトップ用メモリの規格については、2016年3月現在では「DDR4」という規格が主流となっています。それ以前の規格として「DDR1」「DDR2」「DDR3」もあります。ただし、それぞれに互換性はありません。そして今後も性能向上のため、「DDR5」など、新しい規格・仕様のメモリが登場することでしょう。
ところで、一口に「DDR4」といっても、実際には「DDR4-2133(あるいはDDR4 PC4-17000)」や「DDR4-2666(あるいはDDR4 PC4-21300)」など、さらに種類が分かれていたりします。
「DDR4-xxxx」と「PC4-xxxxx」の違いは?
メモリには「DDR4 2666/PC4-21300」「DDR4 2133/PC4-10660」などの表示の違いがあります。この記号・数字は、メモリの性能を表しています。
それぞれの意味は、以下の通りです。
- DDR4とは「メモリチップの種類(規格)」で、2666は「メモリチップの最大動作周波数」。すなわち「2666MHz」の意味。
- PC4-21300は「メモリモジュールの最大データ転送速度」。すなわち「21.3GB」の意味。
メモリモジュールとは、メモリ本体そのもの。通常、1枚のメモリモジュールには、複数のメモリチップが実装されています。
「DDR4-xxxx」とは、メモリチップ単体の性能を表したもの。一方、「PC4-xxxxx」とは、メモリ全体の性能を表したもの。つまり、いずれの記号も「同じメモリ(規格)の性能を表している」ということになります。ただ、「メモリチップ単体の性能表示」か、「メモリ全体の性能表示」か、だけの違いです。
いずれの表記にしても、「数字の大きい方がより高い速度で動作するメモリ」となります。「DDR4 2666/PC4-21300」「DDR4 2133/PC4-10660」の例では、「DDR4 2666/PC4-21300」のほうが高速のメモリ、というわけです。
どの規格のメモリが使えるのか? これは、マザーボードによって決まります。なので、購入対象のマザーボードの仕様をチェックして、対応するメモリの規格を確認することが大切です。
メモリの性能(速度)は、使用するCPUとも関係がある
ただし、メモリの性能(速度)は、使用するCPUとも関係があります。というのも、最近のCPUはメモリコントローラーを内蔵していることが多いため。なので、CPUによってメモリの速度が決まる、というわけです。
例えば、DDR4 2666/2133 Mhz に対応したマザーボードの場合、DDR4 2666 MHzのメモリを選ぶことができます。しかし、CPUがDDR4 2133 MHzまでの対応なら、DDR4 2666 MHzのメモリを組み込んでも、DDR4 2133 MHzでの動作となります。つまり、「CPUによってメモリの速度が決まる」というわけです。
この場合、もし価格が安いなら、DDR4 2133 MHzのメモリを選んだ方がよいかも……ということになるわけです。逆に価格差がなければ、DDR4 2666 MHzのメモリでも構わない、ということになります(売れ筋であれば、高性能なメモリのほうが割安な場合もあります)。
CPUがどのメモリ速度まで対応しているかは、CPUのスペック表(仕様表)で確認できます。CPUの製品名・型番をGoogle検索することで、メーカーの製品説明ページを見つけることができると思います。メモリー購入前には念のため、CPUの仕様もチェックすることをおすすめします。
ところでメモリには「規格の違い」とは別に「容量の違い」もあります。例えば4GBや8GBなど……どの程度の容量のメモリーを購入するのが最適なのか? それは、CPUやマザーボードそしてOSの仕様、あるいはパソコンの使用目的によって異なってきます。
2)メモリの「容量」を決める
メモリの規格が決まれば、次は「容量」を決めることになります。メモリの容量が少ないと、パソコンが快適に動作しません。しかし、多すぎても「全ての容量を使い切れない(無駄が出る)」「費用がかかりすぎる」といった問題が。最適なメモリ容量の選び方について、考えてみましょう。
Windows 10の場合、最適なメモリー容量は「8GB」
さて、OSが「Windows 10」の場合、最適なメモリー容量はいくらなのか? 大容量のメモリーが必要なソフト、あるいはRAMディスクを利用する環境でないのなら、基本的には「8GBで十分」のようです。
最適なメモリー容量の調べ方ですが、「自作パーツショップなどでメモリの売れ筋ランキングをチェックする」のがおすすめです。「売れ筋商品のメモリ容量が、最適なメモリ容量」と判断できるからです。
【コラム】「Windowsメモリ4倍説」?
Windows OSのメモリについては、「システム要件が推奨する値の、4倍のメモリで快適に動作する」という説がある、とか。
例えば、過去のWindows OSでは、以下の通り:
- Windows98(24MB)……(4倍で)96MB
- XP(128MB)……512MB(ただしSP3では2GBで快適だった、という話も)
- Vista(512MB)……2GB
- Windows 7 (1GB/32ビット版、2GB/64ビット版)……4~8GB
- Windows 8.1 (1GB/32ビット版、2GB/64ビット版)……4~8GB
Windows 10の場合、システム要件では「2 GB (64 ビット版)」とあるので、「2GB×4=8GB」が、やはり快適に動作する目安、といえそうです。また実際、メモリの売れ筋商品は、8GB(4GBの2枚セット商品)となっています。
同じ規格・同じ容量のメモリなのに価格差がある理由は?
ところでランキングなどをチェックしていると、「同じ規格・同じ容量のメモリなのに、価格差が大きく異なる製品もある」ようです。この理由としては、以下の点が挙げられます。
その1)「CL(CAS Latency:キャス・レイテンシ)」の違い。CLとは、メモリーの各命令の間で発生する「待ち時間」のこと。例えば「CL=9」「9-9-9」あるいは「9-9-9-24」などと表記され、このCL値の小さい方が「高速なメモリ」となります。
その2)「XMP」への対応。XMP(eXtreme Memory Profile)とは、インテルのチップセットを搭載したマザーボード向けの機能。簡単にいうと、メモリをオーバークロック(規格以上の速度で動作)できる機能です。XMP対応メモリかどうかで、価格差が生じる、というわけです。
その3)「ヒートシンク」の違い。ヒートシンクとは、熱によるメモリチップの劣化や動作不良を避けるため、メモリに装着された冷却用の金属板のこと。冷却能力の高い大型のヒートシンクが装着されている場合、その分だけ価格が高くなっていると思います(ただし、大型のヒートシンクの場合、他のパーツなどと接触しないかどうか、サイズの確認をおすすめします)。
3)メモリは「同じ容量を2枚一組のセット買いで購入する」
メモリは、「同じ容量を2枚一組のセット買いで購入する」のが基本です。というのも、現在のマザーボードには、同一メモリを2枚同時に連動することで処理を高速化する技術「デュアルチャンネル(Dual Channel。デュアルチャネル)」機能が備わっているからです。
例えば、メモリの総容量を8GBと決めた場合、「8GBのメモリカード1枚」より、「4GBのメモリカード2枚一組」で使用するほうが、データ転送速度が速くなります。逆にいえば、2枚1セットでなければデュアルチャンネルは機能しません。
このため、メモリは「同じメーカーの同じ規格・同じ容量・同じ型番のものを2枚セットで買う」ようにしましょう。というより、同一2枚1セットでなければデュアルチャンネルが有効になりません。それぞれのメモリについて、メーカーが異なっていたり、容量に違いがあると、デュアルチャンネルでは動作しません。代わりに「シングルチャンネル」として、それぞれ単独のメモリとして動作することになります。
現在では、デュアルチャンネルでの利用を前提とした「同一メモリ2枚一組のパッケージ製品」が販売されています。なので、通常はそうしたセット製品を選ぶと良いでしょう。
なお、マザーボードに挿すスロットの位置(組み合わせ)は決まっています。正しい組み合わせでメモリを挿さないと、デュアルチャンネルで動作しません。必ずマザーボードのマニュアルを確認して、正しいスロット位置にメモリを挿すようにして下さい。
※ちなみに、すべてのメモリが同じでなくても、デュアルチャンネルとして動作するようです。個人的な過去の例では、「Aチャンネルに256MB*2(ノーブランド)」「Bチャンネルに512MB*2(サムスン製メモリ)」の計1.5GBという構成にしてみたところ、デュアルチャンネルで動作していました。
製品の合計メモリ容量とメモリ枚数の確認をする
メモリのチェックや購入の際は、製品の説明欄を見て、合計メモリ容量と構成(メモリの枚数)を確認しましょう。例えば「容量:4GB×2」や「4GB 2枚組」とあれば、「合計メモリ容量は8GBで、4GBのメモリが2枚のセット商品」となります。
製品によっては「メモリ1枚で8GB」のものもあります。合計メモリ容量とメモリの枚数を間違えて購入しないよう、気をつけて下さい。
搭載できるメモリ容量(最大メモリーサイズ、最大積載メモリー容量)は、CPUとマザーボードの仕様(スペック)によって決まる
ところで、メモリーは最大、どのぐらいの容量まで搭載可能か? 基本的には、マザーボードの仕様により、上限が決まります。ただし、OS やCPUの仕様にも左右されます。
先にOSから。Windows OSの場合、以前主流だった32bit版OSではどのエディションでも、約3GBまでしか認識されませんでした(4GBのメモリを搭載しても、1GBが認識されない)。つまり「32bit版OSの上限は4GB」(実際には約3GB)です。
一方、現在主流の64bit版OSでは、もっと多くのメモリー容量まで認識されます。ただし、各Windows OSでサポートされている最大物理メモリサイズは、OSやそのエディションの違いにより、最大値が異なっています。
例えば、64bit版Windows 7 Home Premiumなら16GBまで搭載可能です。64bit版Windows 8.1なら128GBまで、64bit版Windows 8.1 Proなら512GBまで。そして64bit版Windows 10 Homeなら128GBまで、64bit版Windows 10 Proなら512GBまで。仕様の上では事実上「64bit版OSならメモリの上限なし」ともいえます。
ただし、実際に搭載できる最大メモリ容量は、CPUとマザーボードの仕様(スペック)により、上限が決まります。例えばマザーボードの仕様表に「32GBまで」とあれば、32GBが上限となります。しかし、CPUの仕様でもしも「8GBまで」とあれば、8GBが上限となります。
もっとも、最新のCPU・マザーボードでは、利用できる最大メモリーサイズは同じであることが一般的です。なので、あまり心配する必要はないといえます。しかし念のため、CPU・マザーボードの仕様を確認することをおすすめします。
「マザーボードのメモリースロット数」も要チェック
メモリー購入の際は、事前に「マザーボードのメモリースロット数(メモリを挿す部分の数)」も確認しておきましょう。一般的に、マザーボードのサイズが小さい場合(Micro-ATX以下)、スロット数が少なくなります。この場合、メモリの増設に制限があるので、注意が必要です。
例えば、もしスロット数が「2つ」だけの場合、仮に2GB×2枚=4GBを挿した時点で「空きスロットがない」ことになります。このため、メモリーを「新たに追加」することはできません。ただし、4GBのメモリ2枚を「別途購入」することで8GBにアップできます。しかし、最初の2GB×2枚のメモリは「無駄」になる、というわけです。
一方、スロット数が「4つ」ある場合、空きスロットに2GB×2=4GBを追加することで、合計2GB×4=8GBのメモリ容量にアップすることが可能です(4枚の場合でも、同じメモリ製品なら「デュアルチャンネル」として動作します)。
もしスロット数が「2つ」だけの場合は、最初から大きな容量(4GB×2=8GB)のメモリーを選んだ方がよいかもしれない……ということは、覚えておくと良いでしょう。
まとめ:メモリは「価格変動」が激しいので注意
最後に、メモリの価格について。メモリは価格変動が激しいパーツといわれます。為替や部品の流通量で、価格の相場が大きく変動するからです。購入1週間前と後で、価格差が大きく変わっていることもありえます。あらかじめ覚えておきましょう。
では次は、「HDD&SSDの選び方(基礎知識編)」です。
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